チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント進出を懸けたプレーオフのファーストレグ。最大の注目カードは一昨季の覇者対昨季の覇者、マンチェスター・シティ対レアル・マドリードだった。
両者のCLでの対戦はこれで4シーズン連続だ。昨季はレアル・マドリードが準々決勝でPK戦勝ち(通算スコア4-4)。2022-23シーズンはマンチェスター・シティが準決勝で通算スコア5-1の勝利。2021-22シーズンはレアル・マドリードが通算スコア6-5で勝利している。
レアル・マドリードの2勝1敗という結果だが、内容は3シーズンとも変わらなかった。攻めるマンチェスター・シティ、守るレアル・マドリードで一致する。主導権を握るマンチェスター・シティに対し、レアル・マドリードがしぶとく食い下がるという展開だ。
しかし、4度目の今回はこれまでとは趣を大きく異にする展開となった。
11分、12分、13分と、その産物としてたて続けに決定的なチャンスを迎えた。中でも12分のシーンはシュートを打てば入りそうなチャンスだった。が、パスを回しすぎて好機を逃すという、むしろマンチェスター・シティ的な”濃い”プレーさえ披露していた。
慌てなくても大丈夫。筆者にはそれが余裕に感じられた。しかし直後の19分、「あの時シュートを打っておけばよかった」とレアル・マドリード側が後悔したくなるシーンが訪れる。マンチェスター・シティに先制点が生まれた瞬間である。
反転速攻から、左ウイング、ジャック・グリーリッシュのクロスを左SBヨシュコ・クバルディオルが落とすとアーリング・ハーラントが現れ、巨体を揺らしながら蹴り込んだのだ。相手のプレッシャーをかい潜るようなしたたかなゴールだった。
現在国内リーグ5位と不本意なシーズンを送るマンチェスター・シティ。レアル・マドリードはプレーオフで対戦する相手としては荷が重いかに見えたが、逆境のなかで、従来のレアル・マドリードを彷彿とさせるようなしぶとさを発揮した。
1 / 3
- スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
- 杉山茂樹の記事一覧