ずっと待ち望んだ結論だった。息子が亡くなった事故を巡り、被告の救護義務違反を認めた7日の最高裁判決。父親の和田善光さん(54)と母親の真理さん(53)は記者会見で、真相解明を求め続けた10年を経て得た結果に安堵しつつ「息子の命は帰ってこない」と目を潤ませた。
2015年3月23日の事故当時、真理さんは家の外で大きな衝突音を聞いた。車同士の事故かと思ったが、善光さんが外に出ると、横断歩道には樹生さん=当時(15)=の靴などが散乱。人だかりの中心には、ぐったりする息子の姿があった。
高校での新生活に希望を膨らませていた息子の未来は、なぜ失われてしまったのか。捜査の過程で、被告が救護するより前に、飲酒運転発覚を免れようと、口臭防止の商品を買うためにコンビニに行ったことを知った。
自ら目撃者への聞き取りを進めると「どうしてこれが救護義務違反にならないのか」との思いは強くなるばかり。新たな情報をつかんでは検察に上申書を提出して再捜査を求め、時効直前に在宅起訴となった。