禁錮4年9カ月判決を受けた水原一平被告(ロイター)
カリフォルニア州など全米4州で活動している国際弁護士の吉田大氏は7日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)に出演し、銀行詐欺罪などに問われ、同州の連邦地裁から禁錮4年9カ月などの量刑を言い渡されたドジャース大谷翔平投手の元通訳、水原一平被告(40)側が、量刑言い渡しの前に取った行動の背景を分析した。
カリフォルニア州の連邦地裁は6日午後(日本時間7日朝)、水原被告に対し、禁錮4年9カ月、大谷への約1659万ドル(約25億7000万円)の賠償などの量刑を言い渡した。また、水原被告はこの日の法廷で「45日間の猶予」「南カリフォルニアの刑務所への収監希望」を求めた。閉廷後は報道陣に無言で裁判所を後にした。3月24日までにあらためて出頭し、その後収監される見通しだ。
水原被告は量刑言い渡しに先立ち1月23日付で提出した書面で、自身の立場について「(大谷を)近くで支えるために高額な家賃を支払う必要があった」「過酷な労働環境にあった」などと訴え、生活の困窮からギャンブル依存症になったと主張。しかし検察側は「証拠に基づいていない」と反論する書面を裁判所に提出するなど、異例の展開となっていた。
水原被告側が提出した書面の内容に関して「(量刑を)軽くしようと思って書いたのか、それとも本当にそう思って書いたのか」と問われた吉田氏は「まず、弁護士としては今、手元にある事実をもとにクライアントのために最大の議論をするのが仕事。マイケル・フリードマン弁護士は、目の前の(事実の)中から、これがベストと思う議論を展開したのだと思う」と、やり手で知られるフリードマン氏の戦術について分析。その上で「水原被告は個人の心情というところで、私は1度も犯罪をしたことがないと。高い評価を通訳としても受け、一生懸命働いていたが、ただ長いギャンブル依存症によって、巨額な口座へのアクセスがあるという非常な特殊な状況があったから今回、犯罪をおかしてしまったのであって、更生をしていく可能性が高いですよ、とアピールする意図はあったと思います」と述べた。
「ただそれが結果的に、裁判所側の心証を悪くした」と問われると「検察側が、フリードマン弁護士が出した書面に対し、こと細かく、事実をひとつひとつ、真っ向から反対した。例えば20以上のカジノのデータを調べ、水原氏が過去に依存症と呼ばれるようなギャンブルをした事実はないとか、ひとつひとつの事実を、膨大な調査能力を誇示するというところもあったかもしれないが、握りつぶしていったのは、注目点だった」と、検察側が被告側に厳しい態度で臨んだことについても解説した。