トミー・ジョン手術から再復活に挑む大谷翔平、投球フォーム変更で負担軽減か「6月登板の可能性」識者指摘|au Webポータル

「間違いなく負担は増えている。それは間違いないですね。体への負担は短い時間で多くの仕事量をこなすので間違いなくかかっているとは思うので」

2024年のMLB開幕時、ピッチクロックの体への負担を報道陣から聞かれた“ユニコーン”は、怒りにも似た厳しい表情を浮かべ、不安を吐き出した――。

現地の報道によると、ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平は、3月18日に東京ドームでおこなわれるカブス戦に向けて、すでにキャンプ地に入り、自主トレ、リハビリを続けているという。昨シーズンに優勝も経験し、2連覇を期待されるなか、大谷自身も心配をあらわにしているのは冒頭の通り、体への負担である。

ピッチクロックとは、ボールを受け取ってから投球動作を始めるまで、走者なしで15秒、走者ありで18秒を超えるとボールと判定されるルール。試合時間短縮のために導入されたものだが、投手への負担があまりにも大きいと言われる。さらに、大谷が受けたトミー・ジョン手術(TJ)との関係を指摘する声も多い。

「投球間隔が短くなるピッチクロック対策は、どの投手にとっても大きな課題です。今年の自主トレを見る限り、大谷はどうやら今季は、これまでのセットポジションからの投球ではなく、バッターと正対するノーワインドアップで投げる可能性が高まってきました」(現地記者)

今までのフォームを捨てて、調整をしているという、ノーワインドアップには、どんな利点があるのか。

「セットポジションだと左足を上げてすぐに投げるので、いきなり出力を最大限にあげなければいけない。静止状態から左足を上げて投げるまでが短いわけですから、当然肘、肩には負担がかかります。でもノーワインドアップだと左足を下げ、その下げた左足を前に持っていくわけですから、反動を使って投げられるわけです。これだと力みは消えますし、肘、肩にかかる負担も減ります。

また、セットポジションだと左足を上げればピッチクロックのカウントの時間は止まりますが、長く上げ続けることは逆に体力の消耗にもつながる。ところが、ノーワインドアップだと左足を下げた時点で時間が止まり、ゆっくり時間をかけてタメを作ることも可能だし、負担になるどころか休める時間もできるわけです。そうした点があるため、今季はノーワインドアップにするのではないでしょうか」(同前)

大谷はピッチクロックが肘に与える負担は大きいと認めているし、すでにTJ手術を2回受けている。もし3回めとなると投手を諦めることになるかもしれない。デーブ・ロバーツ監督もそこを一番心配していて、“二刀流復活”は5月以降と語っている。

今季の開幕戦は東京ドームだけに、多くのファンからはため息が聞こえてきそうだが、メジャーリーグ評論家の福島良一氏は「ロバーツ監督は、正しい選択をしたと思います。TJ後、短い期間で復帰すると、そのシーズンの成績が芳しくないことは、日本人メジャーリーガーが証明しているからです」と語る。

大谷が最初に手術したのは、2018年10月1日で、復帰登板は2020年7月26日のことだった。しかし、1回途中で1アウトも取れずに5失点KO。結局、この年は2試合しか先発できずに0勝1敗。防御率は37.80と信じられない結果に終わった。

ダルビッシュ有も復帰した年の成績はよくなかった。2015年3月17日に手術し、2016年5月28日に復帰登板。だが、メジャー1年めは2012年は29試合に先発したが、この年は17試合にしか先発できずに7勝5敗。手術前の4年間は連続して二桁勝利を飾っていただけに、物足りないシーズンとなった。前田健太も同様だった。

「術後1年での復帰に成功例はあまりないんです。やはりリハビリは2年近く時間をかけなければいけないのかもしれません。しかも大谷は2度めの手術なので成功率はさらに下がる。チームとしても慎重にならざるを得ません。復帰は6月ごろを設定し、投球回数は150くらいを考えているのでは。もし日本での開幕戦に投げるとなれば200近くいってしまいますし、3月から投げていては、10月後半のワールドシリーズまで体が持ちません」(福島氏)

TJ手術明けに加え、ピッチクロックの問題も重なるが、これまでも不可能と言われたことを実現としてきた大谷。日ハム入団1年め以来のノーワインドアップで“難敵”に挑む。

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