『無双アビス』インタビュー。『真・三國無双7』&『戦国無双4』の武将たちが、ローグライトに“無双”する! アップデートで他タイトルからのゲスト参戦も……? | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

 2025年2月13日の発表と同時にコーエーテクモゲームスより発売されたローグライトアクション『無双アビス』。対応ハードはNintendo Switch、プレイステーション4、プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC(Steam)。 本記事ではプロデューサーを務める平田幸太郎氏にインタビュー。本作がどのように生まれたゲームなのか、どんな方向性を目指したタイトルになっているのか、詳しくお聞きした。

平⽥幸太郎 ⽒(ひらた こうたろう)

『進撃の巨⼈』シリーズのメインプランナーやディレクターを担当し、『WILD HEARTS』でもディレクターを務めた。本作ではプロデューサーを務める。

――まずは『無双アビス』の開発が決まった経緯を教えてください。

 最初から少し長いお話になってしまいますが、私は2023年に発売された『WILD HEARTS』のディレクターを担当しており、その開発がひと段落したタイミングでつぎのゲームの企画はどうしようかと練り始めました。 その中で、私が実現したいと考えていたのは“ローグライト”をテーマにしたゲームでした。企画書を上層部に持ち込みたいわけですが、アイデアを一本の企画に絞るのではなく、A案とB案のふたつを用意して判断していただいたほうが、きっといろいろと幅を持たせられるんじゃないかと考えたんです。

そのときのB案が、本作

『無双アビス』でした。A案はまったく別の形を目指したローグライトだったのですが、B案である『無双アビス』の原形を考えて肉付けしていくと、「あれ、B案のほうがおもしろくなりそうだぞ?」と思えた瞬間がありまして。 『無双』シリーズのアクションの爽快感とコンテンツがすでにたっぷりと蓄積されている要素は、ローグライトと非常に相性がいいと思ったんですね。企画書になった段階ではすでにA案、B案のふたつではなく、『無双アビス』の原形となる一本に絞って上層部に持っていったところ、うまく理解していただき、開発がスタートしました。――では『無双』シリーズとして何か展開したいと考えていたのではなく、シンプルに平田さんが作りたいものを考案した結果『無双アビス』になったんですね。

 はい、その通りです。ローグライトのゲームを考えていた結果、『無双』シリーズとの相性に着目できた感じです。

――2025年1月17日に発売された『真・三國無双 ORIGINS』は、キャラクターデザインやゲームのスタイルもこれまでとガラリと違うものでしたよね。ですから、本作の話をお聞きしたときには“これまでの『無双』シリーズのキャラクターたちの活躍は、『無双アビス』で楽しんでもらおう”と考えているのかと想像していました。

 この企画が始まる前から『真・三國無双 ORIGINS』の開発はスタートしていましたが、企画自体の関わりはとくにありません。コーエーテクモゲームスではローグライトというジャンルに挑戦していないので、新しいファン層へアプローチしたいと考えていたのが理由のひとつです。ですので、『無双』シリーズとして展開しようとは、当初そこまで意識していませんでした。――まだ挑戦していないジャンルでありながら、なぜ平田さんはローグライトに着目していたのでしょうか?

 まず単純に、私が好きだからです。ローグライトというジャンルはとても偉大なものだと思っていて、昨今さまざまなタイトルが発売されていますが、どれも毎回斬新なアイデアが盛り込まれており、毎回「こう来たか!」と驚くような刺激を受けています。そこにゲームクリエイターのひとりとして挑戦してみたかった思いもありました。――開発はいつごろスタートしたのでしょうか?

 企画の準備段階はいろいろとありますが、本格的にプログラマーなどの開発メンバーが加わったのは、2024年の2月ごろです。約1年の開発期間となりました。――2025年で『真・三國無双』シリーズが25周年を迎えますが、本作の発売時期もそのタイミングを狙っていたのでしょうか。

 25周年を狙っていたのは『真・三國無双 ORIGINS』であって、『無双アビス』は偶然です。本作については、完成したらすぐに発売しようと考えていました。――では、発表と同時に発売することは初期から決めていたんですね。

 ファンの方々にサプライズとしてお届けしたかったのが大きな理由です。また、ローグライト系のゲームは発表からすぐに発売され、「どんなゲームなんだろう?」と思ったらすぐに遊べる例が多いです。“まずは触ってもらって”といったスピード感も、ジャンルの特性なんだと思います。ですから、ゲームを知ったらすぐに手に取って遊んでほしい気持ちが強かったです。――なるほど。本作の舞台は“地獄”ですよね。タイトルを『無双アビス』としたのは、やはり地獄であるからシンプルにそう名付けたのでしょうか。

『無双』シリーズの作品ではあるので、“無双”と名付けることは初めから決めていました。ただタイトル決めはかなり議論があり、多くの候補がありました。最終的には私が感覚的によさそうだとシンプルに『無双アビス』と提案したところ、周囲からの反応もよかったので採用しました。 “アビス”にはストレートに、“底なしの地獄である”と意味を込めつつ、裏には“プレイヤーが深層に潜っていく、ハマると抜け出せない魅力”を含ませています。――極まるとド派手すぎて画面が“カオス”になる感じも、『無双アビス』とマッチしているように感じました。

 混沌としたバトルシーンになる部分も意識して名付けていますね。

 まずローグライトの舞台として独自性を出したいと考えていました。当初は西洋ではメジャーな“タルタロス”や“冥界”を舞台にしたゲームにしようという案もありましたが、正直ありふれていました。くり返し戦う題材に合うこと、西洋では人気のある設定、となるとそのあたりが舞台になりやすくて。 日本のゲームメーカーが作って独自性を出すのであれば、日本になじみのある舞台のほうがクオリティーも上げやすいですし、アジア圏から発売されるゲームというアピールもできると考えたところ、東洋の地獄を舞台にするアイデアが浮かんできました。 決め手となったのは、ガイドキャラクターの“エンマ”です。本作は“英傑たちを地獄に呼び寄せて戦う”という設定です。ただ呼び出すだけではあまりにもゲームライクすぎると思い、ガイド役が必要だと考えました。知名度があって個性も持たせられるキャラクターは何だろうと考えたときに“エンマ”が案として上がり、だったら舞台は地獄しかないだろうと。

――たしかに、本作は『真・三國無双』シリーズと『戦国無双』シリーズの武将たち(本作では英傑と総称する)が集結しているので、アジア圏では地獄も閻魔もマッチしていますね。エンマはガイド役ではありますが、かなりゲームに介入してくれて、遊んでいてとても好きになれるキャラクターでした。

 ありがとうございます。ゲームの仕上げの段階で、エンマが参加する場面をとても増やしました。――ちなみに、両タイトルの英傑たちが集結するコンセプトは『無双OROCHI』シリーズと似ていますが、それとはまた異なるんですよね?

 はい、『無双OROCHI』シリーズは関係ありません。『無双』シリーズファンたちにいちばんなじみ深いキャラクターたちは誰だろうと考えると、タイトルとしては『真・三國無双7』、『戦国無双4』が多数のハードで発売されていて、長い期間ファンたちに愛されています。ですから、いちばんなじみのあるナンバリングシリーズから、英傑たちを

『無双アビス』に持ってくることにしました。

――英傑たちのグラフィックやボイスも、基本は『真・三國無双7』、『戦国無双4』から持ってきているんですよね?

 本作用に手を加えている部分はありますが、基本的にはそうです。――見ていて、きっと処理を軽くするような調整は加わっているんだろうなと感じていました。比較的スペックを要求しないようにしているんだろうなと。

 本作はマルチプラットフォームで幅広いハードで遊べますので、そこに対応するために英傑のグラフィックなどもある程度軽くなるようにしています。プログラマーたちには苦労を掛けてしまいましたが、どのハードでもスムーズに遊べるように調整しています。――英傑や敵兵よりも、エフェクトの処理がたいへんそうにも見ていました。突き詰めると、バトルのエフェクトのほうがあまりにも画面いっぱいに無数に広がっていくので(笑)。

 エフェクトとの戦いもありましたね。本作のグラフィックでいちばん手を入れているのはエフェクトになります。極まればもうエフェクトまみれで、ものすごい画面にすることは目標として突き詰めていました。

――遊んでみるとたしかにローグライトアクションなのですが、『無双』シリーズらしさも強く感じられました。そこはやはり『無双』だからこそ意識していたのでしょうか。

 ローグライトはシンプルな操作性でありながら、リプレイ性の高いタイトルが多いです。もはや移動操作のみ、みたいなシンプルなアクションにすることもできましたが、『無双』らしいアクションをベースにするとプレイヤーがしっかり操作しないと達成感が得られにくいので、アクションも重視しています。 ただ、最終的にはビルドの組み合わせで勝てるバランスにしています。うまく構成をすれば、ひたすら回避アクションをするだけで敵を一網打尽にできるといったような、アクション操作をほぼ必要としなくなるパーティーを目指すのも楽しみかたのひとつです。――とはいえ、本当に何もせずに敵を倒せるゲームではなく、どんなに強くてもある程度は自分からアクションを起こさないといけないゲーム性になっていますよね。ビルド構築の楽しさ、そして『無双』らしいアクションの両立は難しかったのではないでしょうか。

 たしかにどんなに強い構成ができたとしても、本作は自分の操作が重要になると思います。ビルドの楽しさは担保しつつ、本作の裏テーマは“クォータービューのアクションを作り込む”ことでした。クォータービューの中で、いちばん手触りよく敵を爽快に倒せるアクションを目指したおかげで、うまく両立できたのかなと思います。 ローグライトタイトルは、日本ではまだ幅広い層には遊んでもらっていないジャンルではあると思っていますので、まずはシンプルなアクションゲームらしい操作で戦うゲームとして、爽快感を味わってもらう取っ掛かりにしている部分もあります。――なぜクォータービューのアクションにこだわったのでしょうか? やろうと思えば、従来の『無双』シリーズのような背中越し視点でも可能だったのではないでしょうか。

『無双』シリーズも360度から敵が迫ってきますが、基本的には正面にいる敵を倒していくゲームですよね。本作は360度の迫りくる敵から圧迫されてしまうような物量を目指しました。となると、こちらも360度の攻撃範囲で吹き飛ばしていく必要があります。 そうすると、背中越しではなくクォータービューではないと爽快感も味わえないですし、俯瞰的にバトルを見ないと何が起きているのかも把握しにくいので採用しました。 また、本作はデッキに組み込んだ英傑たちをすべて同時に召喚する“一斉召喚”というシステムがあります。一般的な三人称視点ですと、6人召喚して7人が並ぶ姿が絵作りとしてなかなか成立しにくいんです。

――それでいて、従来の『無双』シリーズが持つような、アクションが苦手な人でも楽しめるシンプルなバトルアクションの魅力も残されているように感じました。

 本作でとくに楽しめる部分はビルドの構築だと思います。ただ、そこにいたるまでにバトルが複雑であったり小難しいアクションを要求されたりすると、プレイヤーの皆さんがつまづいてしまうと思いました。なるべく親しみやすくしようと考えたところ、結果的に『無双』シリーズの持っていたシンプルなアクション性がマッチしていったように思います。――敵の攻撃は、攻撃エリアが可視化されるものになっていますよね。きっとエフェクトが派手すぎるので、攻撃エリアを表示してそれを回避できるようにしているんだと思いました。

 当初は敵の攻撃モーションを見るタイプのアクションも考えていました。ただ、遊びやすさを考えると攻撃エリアが見えて記号化していたほうが理不尽なことにならないだろうと。――進むごとに敵の攻撃エリアがものすごいことになっていきますが、攻撃を阻止できるのがおもしろいですよね。

 “やられる前にやる”ゲームスタイルになっています。プレイヤーの攻撃の手数を十分にできれば、敵の攻撃の予兆が見えたとしても、自分に攻撃が届くことはほとんどなくなります。敵も弾幕のような攻撃をしてくることもありますが、ほとんど攻撃で消せるようにしています。

――原作から登場する英傑は、その作品から全員登場というわけではなく一部の参戦となっています。とはいえ100人規模でキャラクターがいるわけですが、何か理由があるのでしょうか。

 本作は英傑たちを仲間にしていくことで、パーティー全体を強化できます。仲間どうしそれぞれ相性があり、うまく組み合わせることでシナジーを発揮できます。そのシナジーを起こせる英傑たちを選出しました。 たとえば織田信長を主軸にする構成ができるように、“織田家”の英傑を多めに採用したりですとか。また、所属的な相性は無いですが、単体の性能として活躍できそうな英傑も登場させています。たとえば、阿国や石川五右衛門は所属的な関連性はありませんが、単体で採用するだけでユニークな性能を持っています。

 といった中で、決して登場数を絞ろうと思って絞ったわけではなく、100人の英傑を使えるようにすることが最初の目標だったので、登場数は100人になっています。100人いればビルドの楽しさを構築できるだろうと考えて、100人に揃えた形です。 ただ、長くゲームを遊んでほしいですし、より新しいことがやりたくなることもあると思います。ですので、無償アップデートでキャラクターの追加も予定しています。――それは『真・三國無双7』、『戦国無双4』の中から登場していない英傑ですか? それとも、『無双』とは関係のない別タイトルから思わぬ参戦があったりしますか?

 まず、近日中のアップデートで『真・三國無双7』から“晋”勢力の英傑たちを追加します。また、ほかのタイトルからの参戦も考えていますので、ぜひ今後の続報にご期待ください。――楽しみにしています! やはり本作の目玉となるのがビルドの構築だと思います。基本的には英傑たちに紐づいた“印”を集めて強化していくゲームですが、そこにタグのような特殊印があるのがユニークでした。たとえば、陣営の“蜀”、役職的な区別の“軍師”、固有の“蜀の五虎大将”ですとか。麻雀の役を揃えるようなおもしろさがありますよね。

 まさに麻雀のような役を作ることでシナジーを産むところを狙っていました。英傑を集めて役を作る、というのは感覚的に近いです。基本的なシナジーは技能・属性の印を揃えればいいのですが、英傑たちの固有戦法を発動するには特定の英傑が必要ですし、召喚技を強化するのに固有の特殊印を集める必要があるので、より深いビルドを組めるようになります。――慣れればシンプルなのですが、突き詰めるとそこそこ複雑であり、そしておもしろいところですよね。あえて細かいビルドを組めるようにしたのはどのような狙いがあるのでしょうか。

 リプレイ性を高くしたかったのが理由のひとつです。ゲームの中心の部分はシンプルにしていますが、すべてを把握したときに「じゃあ、どういうビルドを組もうか?」と考えるのが、本作のいちばんおもしろいところです。そこがプレイヤーのやり込み要素でもあるので、プレイヤーの細かい創意工夫を受け入れられるようなシステムにしました。 ただ、やはりおっしゃるように複雑な部分でもあります。いきなりすべてを把握するのは難しいので、オススメ編成や黄色く光るエフェクトで、選んだ英傑で能力が発動することがわかるようにしました。最初は、オススメ編成を使いながら黄色く光る英傑を選んでいけば、基本は強くできると思います。

 ローグライトはカジュアルな面もありますが、やろうと思えばかなり複雑な構成も可能で、知識や経験が乏しい中で「あなたのデッキを組んでください」と言われても、なかなかきびしいだろうと思いました。そのとき作ったのが、全体の強さを数値化する“戦闘力”の概念と、それを自動で最強数値にしてくれる“エンマのオススメ編成”です。オススメ編成さえ使えば、ある程度のところまではいけるようにしています。

――ただのオススメ編成ではなく、エンマのオススメなのがいいですよね。

 あくまでエンマが考えるオススメなので少し未熟なんです(笑)。きっとプレイヤーの気に入らないところが出てくると思うので、そこは自分好みに改良を加えていってほしいです。あくまで定型的な構成を示唆するものであって、その後はプレイヤー自身で考えてほしいと思って入れている要素ですから。 たとえば、戦闘力をただ上げるのであれば蜀陣営の英傑たちで固めたデッキを作る、というのが簡単かと思います。ですが、長期的に見ると、お金稼ぎがしやすい石川五右衛門を単独で採用したほうが強化しやすくなるなど、構成による戦略の幅があります。まずはオススメ編成を試して、そこから考えていくのが本作の第一歩になるでしょう。

――印だけで仲間にする選択肢もありますよね。“速”の印が1個だけでも付くと、回避に無敵時間が付くので安定したり。

 幅を出しやすいように、印を取った1個目の効果は強力なものにしています。基本は同じ印を集めるのがオススメですが、1個目の効果を取るためだけの採用もアリです。

――また、ビルドの鍵となる英傑たちは、ただ装備品かのように選ぶだけなら比較的実現しやすいのかなと思います。ですが、本作はそれがありつつも、登場する英傑たち全員がプレイアブルキャラクターです。とてもリッチだなと思ったのですが、どう実現したのでしょうか?

 チームからも「本当にやるんですか?」と何回か言われたことがあります(苦笑)。ただ、長きに渡って『無双』シリーズを作ってきた我々だからこそ、実現できる魅力だと思っていました。ローグライトのジャンルの中でも、100人固有の性能と攻撃方法を持っているキャラクターが揃っているタイトルはなかなか無いんじゃないでしょうか。そこが本作ならではの魅力になると考えていました。 ただ、100人全員を操作してほしいとは思っていません。100人の中で、自分なりの選択で自由な戦略を楽しめる新しい感覚を味わってほしいです。好きな英傑だけずっと使ってもいいですし、英傑ごとの性能に合わせて周回を楽しむのもいいでしょう。100人の選択肢の中からひとりを選ぶ贅沢を存分に楽しんでほしいです。――プレイキャラクターに選んだ際の“操作時特性”もユニークだと思いました。英傑によっては“蜀”などの陣営を揃えれば強くなるわかりやすい例もあれば、特定のステータスや印に紐づいて強くなるので、陣営をごちゃまぜにすることで強くなるデッキもあったり。

 デッキ構築の指標となっていますが無視しても構わないです。もちろん、指標通りにしたほうが強くはなりますが。ちなみに、ゲームを進めていくと英傑ごとの“ユニーク武器”を手に入れることができ、それを入手するともうひとつの“操作時特性”を解放できます。 一部の英傑は“操作時特性が地味”で、一見「え、弱くない?」と思われるかもしれませんが、ユニーク武器を手に入れた途端、ものすごい強力な性能に変貌することもあるんですよ。すべてのユニーク武器を集めるのはたいへんなやり込み要素ではありますが、それを解放することで新たな魅力に気付くこともあるでしょう。

――また、ビルドのひとつに“陣形”があります。少しマニアックな要素ですが、なぜ取り入れたのでしょうか?

 ビルドを構築するのはランダム要素が絡むので、必ずしも自分の目指したビルドにたどり着けるわけではありません。そんなときに、陣形と組み合わせることでうまく力を発揮できるようにしています。 英傑たちをただ集めるだけでは終わらない、プレイヤーの選択の幅を持たせたかったんです。やり込まないと見えてこない部分もあるので、基本は初期の陣形から別の陣形に変えればとりあえず強くなれるような要素だと思ってください。

――基本はどの英傑でも遊べるように作られていながらも、呂布や本田忠勝など、意図的に初期能力が高い英傑もいます。どのようにその能力を決めていったのでしょうか?

 英傑たちは“魂結の間”というメニューで解放することで使用可能になり、かつ仲間にしたときに固有戦法や召喚技を発動できるようになります。英傑たちは基本の印を持っていますが、ほとんどの英傑が2個の印が付与されています。 その中で、呂布と本田忠勝は4つ、ほか一部の英傑が3つ印を持っているんですね。3つ印を持っているとなれば役を揃えやすく、デッキ構築で有用な英傑であることがわかるようにアイコンも大きくしています。 印を多く持つ英傑をどう決めたのかというと、歴史の中でどれくらい功績を残したのか、または強かったのか、みたいな基準で選びました。わかりやすい例ですと、戦国大名の中では卓越した功績を残した織田信長、天下統一を果たした羽柴秀吉、徳川家康ですとか。

――見ているだけでも楽しめたのが、武将ごとに付けられた固有の特殊印です。“怪力”や“弓の名手”といったわかりやすい個性があったり、大喬・小喬が持つ“優美”を今川義元も持っていて思わぬシナジーがあったりして(笑)。作る側も、きっと楽しんで付けられただろうなと。

 本作の戦術面を構築してくださったのが、もともと弊社の歴史シミュレーションゲームのディレクターをやっていたスタッフでした。その方と私とで、毎晩のように「この英傑にはこれ付けましょうよ!」、「阿国には“怪力”がいる!」みたいな議論が、本作の制作でいちばん楽しかった部分かもしれません(笑)。 ちなみに、英傑どうしでじつは仲がいいとか、出自は違えど似たような境遇があるなど、コンビで組ませるといい味が出そうだと思ったような組み合わせについては特殊印を持たせたりしています。――さまざまな組み合わせがあると思いますが、オススメの構成はありますか?

 シンプルなのは、劉備・関羽・張飛を揃える構成ですね。3人の攻撃力が100%アップしますので、序盤から狙いたい組み合わせです。そこに蜀陣営を揃えると強くなるような構成を目指すと安定しやすいかと思います。また、同じく魏のデッキも、序盤から強⼒な構成を狙える組み合わせになります。

 とにかく英傑を解放していくことがクリアーにつながります。基本は最初のボスまでなんとなく英傑を選ぶだけでも攻略できるようにはしていますが、中にはボスがなかなか倒せないという人もいるでしょう。そういうときは、何度も地獄に潜って、解放に必要なポイントを集めてみてください。 また、本作は各英傑ごとのレベルはそれぞれ蓄積していきます。ひとりの英傑を使い続けていれば、きっとクリアーしやすくなるでしょう。――最後に、本作が気になる方々に向けて、ぜひアピールをお願いします。

 本作のキャッチコピーは“地獄に、沼れ。”です。これまでの『無双』シリーズにはない、短時間で遊べる高いリプレイ性と沼りやすい中毒性を考慮して付けたものです。最初はライトな感覚で遊べる本作ですが、遊んでいくうちに戦略性が必要になり、思わずハマってしまう魅力があると自負しています。自身で考えたビルドで難関に立ち向かいたいプレイヤーや、コツコツ気長に育てて遊びたい、という人にもオススメです。まずはぜひ、一度手に取って遊んでみてください。

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